愛されたいと思う子供と、愛し方がわからない親

毎晩眠る前に子供にこう言っている
生まれてきてくれてありがとう

毎日たくさん抱っこして、手をつないで、頭を撫でて、見つめあって笑って
たくさん愛してるって伝えてるんだ

きっと、わたしもそうやって同じように愛してもらってたのだろう
抱っこしてもらって、いつでも守ってもらってたに違いない

抱っこしてもらった記憶はない
かわいいね、大好き、愛してるって言われたことも記憶にない 
たぶん言ってもらってたけど、小さすぎて覚えていないのだと思う

母親なら誰でもそうだろうと願いたい
自分の子供をかわいいと思い、守りたいと思う気持ちは誰もが抱くものだと信じたい

大きくなってからは
勉強しなさい
はやく帰って来なさい
それはやめなさい
塾に行きなさい
これを着なさい、それはダメ

そんなんじゃなくて、小さい時に言ってもらってた言葉を待ってたんだと思う
あなたが大事だよ、あなたは大切な存在だよ、あなたが生まれてきてよかった
あなたは生まれてきても良い存在なんだよって
たぶん、そんなことを言ってほしかったんだと思う
 
だから、自分のやることを否定されたり、あれこれ言われることに反抗してたんだ

本当は愛されたいのに、それが満たされないから
さみしくて、くるしくて、つらかったから
そんな自分の気持ちに気がつくこともなく、ただ親はうるさいとしか思ってなかったけど

「なんでこんなに帰りが遅いの?」

家に帰りたいと思わないからだろう
友達と居るほうが楽しいし、彼氏と過ごしている時の方が、自分が必要とされていると感じてたから
どれも今となっては人生の思い出の一ページにも残ってないようなものだけど

家が好きだったら、家族との時間が好きだったら、そこに帰るんだろうと思う
でもそうしないのは、そこにいても自分が居心地が良いと思わないから
単純に、家に居たくないから

「なんで、こんなに、いつも家にいないんだ?」

その時こう思った
家にいたいと思えばいるでしょ?って素直にそう思った

家にいたくないから家にいないんだよ
お父さん、なんでわからないの?

愛されたいと思う子供と、愛し方がわからない親
いや、親は正しいやり方だと思ってるのかもしれない
そして、子供のほうも愛されていることに気がつかないでいるだけなのかもしれない
正しい愛し方なんてないのかもしれないし、正しくできている親子なんていないのかもしれないけど

そんなの悲しすぎやしませんか

お互いに、本当は一番愛し愛されたい存在なのにね、うまくいかないの

今になって思う
中学生の時も、高校生の時も、もう3歳の女の子じゃないけど、
でも、抱きしめて欲しかったんだろうなって
赤ちゃんみたいに可愛くないけど、それでも大好きだよって、言ってほしかったんだろうな

いま自分が親になってみて、どれだけ自分が小さい頃親に愛されて、生まれたことを歓迎されて、大切にされてきたのかわかる

それはわかるのだけどね、やっぱり、それでもつらかった気持ちが大きくて
くるしかった、何よりもさみしかったんだよね

大人になって自分の家族ができて、初めて自分の居場所ができたよね
だからもういいの
これからは、子供の親として生きていくんだよ

勉強しろなんて思わない
どんな服装でもなんでも良いから
「私は生まれてきて良かった人間なんだ」っていつも感じながら生きてほしい

子供にこうなってほしいっていうのは親の勝手で、そういうの本当はいやだけど、それはいつも思ってる

ってもしかしたら、自分の親も何十年も前にそう思ってたのかもしれないけど